振動の基本である単振動を、等速円運動の射影として説明している参考書は数多くあります。そして、多くの場合、それは自明の理として扱われています。確かに、円運動に置き換えて振動を説明することで、現象の理解が容易になり、さまざまな振る舞いがうまく再現されているように思えます。
しかし、私自身はどうしてもその説明に対して不思議な感覚を拭い去ることができず、今日まで来ています。なぜ振動が、等速円運動をする点の動きで説明できるのでしょうか。なぜ「円」なのか、なぜ「等速」なのか――。
もちろん、大人の態度として、ある程度は納得して受け入れることも必要なのかもしれませんが、それでもなお、どこか釈然としない気持ちが残り続けています。
物体とバネによる単振動
ここでの物体とは質量\(m\)そのものです。下図のように絵として表現するためには大きさが必要なので,円状の物体として示していますが,この物体の重心に集中した質量のみがあり,回転運動に関する慣性モーメントは無視できるほど小さいものとしてこの単振動シミュレーションを実施しています。シミュレーションはいつものWorking Model 2Dです。図中では物体である円の軌跡が重ねられています。

赤丸で示した位置がこの振動系のつり合い位置でして,物体の取り付けれたバネ(バネ定数\(k\))は自然長にあります。つまり,一定のリズムでの振動状態では,物体が赤丸の位置にある瞬間ではバネにはエネルギーは蓄えられてなく,その一方で物体は最高速度で原点\(x=0\)をすり抜けていることが図中左上のモニターでも確認できます。この瞬間,物体の運動エネルギーは最大となっていることになります。
その一方で,物体がもっとも右端か左端にあるとき,つまり,変位\(x\)が最大/最小のとき,速度\(v\)であることがモニター内の波形からも読み取れますので,このときではバネに最大の(バネ)エネルギーが蓄えられ,物体はこの瞬間では速さは\(0\)なので,運動エネルギーは\(0\)となっています。
このことはあまりも初等的な内容なのですが,この単振動においては運動エネルギーと位置エネルギーの和は振動全体において一定であるとするエネルギーの保存則そのものと関連しています。復習として同じことを式で示してみますと,
\(\frac{1}{2} m v^2+\frac{1}{2} k x^2 = C\)
ここで\(C\)は一定(constant)のCです。
このエネルギー保存の式の左辺の2つの項はそれぞれに二乗形式なので,どうにかすると「円の式」に近づくのではとの気がします。
エネルギーの二乗形式と幾何学的解釈
では,やや作為的に上式のエネルギー保存の式を「円の式」に持っていくための“工夫”として,まずは,この式の両辺を\(1/2m\)で割ってみます。そうすると,
\(v^2 +\frac{k}{m} x^2 = \overline{C} ^2\)
ここで,\( \overline{C} \)は \( \sqrt{ \frac{2C}{m} } \)です。
つづけて「円の式」を目指し,\(v^2=X^2\),\( \frac{k}{m} x^2=Y^2\)とすると,
\(X^2+Y^2= \overline{C} ^2 \)
と書き直せて,目的でした半径\(\overline{C}\)の「円の式」が見えてきました。
この円を描くまでもないのですが,次に向けて作画してみます。

この図中の\(\theta\)は,振動を動的にとらえるのではなく,ある状態\(\theta=\theta\)での\(X\)と\(Y\)の関係を示すものです。そこに時間の感覚は超越されているような感じもします。
さて,当然のことなのですが念のために,
\(X=\overline{C}cos \theta , \)
\(Y=\overline{C}sin \theta \)
と,+の成分だけでまずは
\(X=v(=\frac{dx}{dt} ),\)
\(Y=\sqrt{ \frac{k}{m} } x\)
を列挙してみます。この関係から,
\(x=\sqrt{ \frac{m}{k} } \overline{C}sin \theta \)
を得ます。この式から
\(X=\sqrt{ \frac{m}{k} } \overline{C} \frac{d\theta}{dt} cos \theta \)
となり,さらには
\(X=\overline{C}cos \theta = \sqrt{ \frac{m}{k} } \overline{C} \frac{d\theta}{dt} cos \theta \)
より,
\(1= \sqrt{ \frac{m}{k} } \cdot \frac{d\theta}{dt} \)
となる。最終的には,
\( \frac{d\theta}{dt} = \sqrt{ \frac{k}{m} } \)
となり,右辺は定数なので,\(\theta\)は時間\(t\)に関しては一次式であることがわかります。これにより,仮に,
\(\theta=\omega_n t + \phi \)
とおくと,
\(X=v=\overline{C}cos ( \omega_n t + \phi ) \)
ここで,\( \omega_n = \sqrt{ \frac{k}{m} } \)です。
となり,もう一息でいつもの単振動の式の解の一部が見てきそうです。\( \omega_n\)と\( \phi \)は一定値です。当初の「なぜ等速(円運動)なのか」との疑問にも答えてくれそうです。続きは,もう少し冷静さを取り戻してから全体を見直しつつ,次に続けてみようと思います。そのあとで,次のケーススタディとして単振り子に注目して,その振動を幾何学的に解釈しようとすると本質的に円であると言えるような努力をしてみたいと思います。
以下は,AIさんに尋ねたら出てきた指針なのですが,自分のメモのために残しておきます。最終的には整理し,消去しますが,何かのヒントが隠れているような気もします:-)
第3章 状態空間に描かれる円:相空間とエネルギー面
- 内容概要: 「変位-速度」平面上での運動(相空間軌道)を円として描写し、その幾何的意味を探る。
- 補足: x(t)=Acos(ωt)x(t) = A\cos(\omega t), v(t)=−Aωsin(ωt)v(t) = -A\omega\sin(\omega t) として、状態空間では
x2+(vω)2=A2x^2 + \left(\frac{v}{\omega}\right)^2 = A^2
第4章 円運動との対応と「等速性」の根拠
- 内容概要: 上記の状態空間における軌道が、一定の角速度をもつ円運動と同じ構造を持つことを確認。なぜ「等速」でなければならないのかを、エネルギー保存と周期性の観点から説明する。
- 補足: 角速度 ω=km\omega = \sqrt{\frac{k}{m}} の導出と意味づけ。
第5章 振動と円運動:射影による視点の再考
- 内容概要: 等速円運動から1次元振動を射影として説明する古典的手法を、上記の構造の上に再定義する。直交成分の振動としての意味を改めて捉え直す。
- 補足: 円運動 (Acosωt,Asinωt)(A\cos\omega t, A\sin\omega t) のx成分だけが単振動になる。
第6章 なぜ「円」なのか? なぜ「等速」なのか?への再回答
- 内容概要: 序章で提示した素朴な疑問「なぜ振動が円で説明できるのか」「なぜ等速なのか」に対して、エネルギー保存則と状態空間の幾何構造を通じて論理的に再回答する。
- 視点: 単なる説明手段ではなく、力学的構造そのものが円運動と等速性を内包しているという認識へ導く。
補遺:楕円運動との違い、減衰振動との対比
- 内容概要: 円運動と単振動が完全に一致するのは理想的な条件下のみであることを示し、エネルギー損失がある場合(減衰振動)には楕円軌道になることも補足的に触れる。
このような構成であれば、単振動→エネルギー→図形→円運動→等速性という自然な流れを保ちつつ、読者に「なるほど」と思わせる論理的連結を提供できます。ご希望であれば、それぞれの章を詳しく執筆・展開するお手伝いも可能です。


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