ここでは,前報(メモ)の「龍頭の形態分析①」に続いて同様な形態分析を試みますが,龍頭表面を表現するポリゴンメッシュの数と曲率分布,ヒートマップ,パワースペクトル(dB)の変化を中心にメモを残したいと思います。
北口本宮冨士浅間神社拝殿向拝左中備の龍の寸法
毎回同じですが,撮測3Dにより簡易的な寸法測定を行います。


舌先から口元まで335.60㎜,角先から耳たぶ上付け根まで286.29㎜と求められているので,これを手掛かりに,MeshLabのにてScaleを調整する。


頂点数9209点のとき

輪郭の髭や突起の影響が強く出ていることが分かります。形そのものを辿るうえではわかりやすい表示ですが,この形の基本を探ろうとするときはこの細部の影響が強く出すぎる心配もあります。下図は面の向きの方向性を示すヒートマップです。詳細は「龍頭の形態分析①」で紹介しています。

この造形は八雲の龍と比較すると,やや正面性が強いように見えます。八雲の場合は設置場所と鑑賞者との位置関係が空間構成として見えてくるような方向性がありましたが,この北口本宮の龍は良い意味での古典的な絵画的構成を,2.5次元的に厚みの方向に掃引した東洋的な,特徴的な造形となっていることが分かります。向拝の左側に配置されていますが,その面の強さは,周囲を気にすることなく,まっすぐと前を向いているようにも理解できます。
下図のように,方位角φ=0.00のラインでこのヒートマップの断面のプロフィールを見ると,天頂角は平均的には水平(θ=1.57)を向いていることが読み取れます。水平面を基準に2つのピークがありますので,強い方向性があるというよりは,下絵をそのまま浮き彫りにしてたとも言えそうな形状かなと思います。

このプロフィールを一つの波と見なし,この周期成分からパワースペクトルを求めますと,

となり,下の八雲の龍の同様なグラフとの比較において,

なんらかの違いを見ることができる。この差異が意味するところについては別報で考察したいと思います。ここでは,ポリゴンメッシュの頂点数の違いによる結果の有無の確認を主題としますので,この辺りでとりあえず,次に進んでみたいと思います。
頂点数5746点のとき

ディテールが落ちますが,形全体の曲面の変化を見ていくには適度に髭や角などの細部での面数の集中は避けるべきです。そのことを考慮して,MeshLabでポリゴンメッシュの最適化,滑らかさ,その数の低減を試行しています。頂点数9209点と同様に,

ヒートマップを求め,方位角φ=0.00でのプロフィールを求め,

FFTに掛けると,

を得ます。2.3Hz辺りで頂点数の違いによる差が見えます。対数表示なので,この違いの程度の意味を推し量るのことは難しい面もありますが,少なくとも,半球4.5分割程度での凹凸の特徴評価に違いが見えてきていることを意味します。
頂点数4093点のとき
もう少し強めにメッシュを削減してみますと,

となります。細部の影響は結構抑えられてきたので,この龍頭のベースになっている形が見えてきているのかもしれません。他の頂点数の場合と同様に,解析を進めると,

このヒートマップからは,主たる面の向きが,中央部に限定的であることが読み取れます。同様にφ=0.00でのプロフィールを確認しますと,

となります。θ=1.57,φ=0.00を辺りに面の強さが集中している様子が際立ってきましたので,北口本宮の龍頭の相対的な平面性を確認することにつながるかもしれません。さらに,FFTに進めますと,

となります。
まだまだ難しいところがありますが,この方法により,形そのものを扱うのではなく,形を覆いつくす面の向きの“強さ”からの数理的な形態分類の可能性を探ってみたいと思います。


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